"世界選手権"に思う

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皆様こんにちは。JBFA理事長の塩嶋史郎です。
今回は、今年8月に開催される世界選手権についてです。

いよいよあと数か月後に迫った(ブラインドサッカー男子・女子、そしてロービジョンフットサルの)世界選手権は、「IBSA ワールドゲームズ*2023」(イギリス/バーミンガム)内で開催されます。今回、JBFAからブラインドサッカー男子日本代表、ブラインドサッカー女子日本代表、ロービジョンフットサル日本代表の3カテゴリーを揃って派遣できることをうれしく思います。

すでにブラインドサッカー男子および女子カテゴリーの出場国(男子/16か国、女子/8か国)が発表されています。ロービジョンフットサルについても詳しい発表を待つばかりです。

ブラインドサッカー女子日本代表にとっては、今回が初開催の世界選手権。いよいよ、はじめて世界選手権の舞台に立ちます。現在、世界ランキング*1位のブラインドサッカー女子日本代表の世界選手権デビュー、活躍が大いに期待されます。さかのぼること、2017年。世界に先駆けいち早く発足したブラインドサッカー女子日本代表は、「IBSA 女子ブラインドサッカートーナメント2017」(オーストリア/ウィーン)に、唯一単独チームとして派遣され、連合・選抜4チーム参加の中、優勝しました。この夏、私たちは、日本が世界のブラインドサッカー女子カテゴリーを切り拓く、時代の目撃者になれるものと確信しています。

また、3カテゴリー同時に世界選手権が開催されることも、今回が初となります。さらに、ブラインドサッカー男子日本代表にとって、パリ2024パラリンピックの出場権の獲得が掛かっています。そのためには、この大会において、大陸別予選でパリ2024パラリンピックの出場が決まっていない国の中で、上位3カ国の枠に入る必要があります*。ここ数年ずっと取り組んできた地道な強化が試される、まさに協会全体にとって競技面における正念場と言っても過言ではないでしょう。

ここで少し過去の世界選手権について振り返ってみましょう。今まで開催された世界選手権には、ブラインドサッカー男子日本代表とロービジョンフットサル日本代表がそれぞれのカテゴリーの大会に出場しています。

ブラインドサッカーの世界選手権は、原則4年に一度開催されています。ブラインドサッカー男子日本代表については2018年にスペイン・マドリードで開催された「IBSA ブラインドサッカー世界選手権 2018」を除き、過去3回出場していますので、今年の夏で4度目の出場となります。

初出場は、2006年にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催された「IBSA ブラインドサッカー世界選手権 2006」。結果は8か国中7位。4年後の2010年には、イギリス・ヘレフォードで開催された「IBSA ブラインドサッカー世界選手権 2010」に出場し、グループリーグ0勝2敗2分で10か国中8位。そして、2014年、JBFAは世界選手権を日本に招致し、「IBSA ブラインドサッカー世界選手権 2014」(東京/渋谷区)を開催しました。日本は当時過去最高順位の6位となりました。大会期間中有料席は連日にぎわい、バリアフリーにこだわった会場運営も話題になりました。また、アジア初開催の世界選手権でもありました。

2018年の「IBSA ブラインドサッカー世界選手権2018」ですが、残念ながらその出場権を決める大会である、前年度開催の「IBSA ブラインドサッカーアジア選手権 2017」の結果、出場を逃し非常に悔しい思いをしました。そして本来その次の世界選手権は2022年の開催予定でしたが、コロナ禍の影響により本年2023年開催となったのが、この世界選手権になります。

また、ロービジョンフットサルの世界選手権も2013年以降は原則2年に1回開催されており、日本代表は、過去3回世界選手権に出場しています。初出場は、2013年。世界選手権を日本に招致し、「2013 IBSA ブラインドサッカー世界選手権 B2/B3 大会」(宮城県/利府町)を開催、出場しました。結果は0勝5敗。4年後開催された「IBSA ロービジョンフットサル世界選手権 2017」(イタリア/カルアリ)での結果は0勝5敗。2019年に開催された「IBSA ロービジョンフットサル世界選手権 2019」(トルコ/アンタルヤ)では0勝6敗と、世界選手権は未勝利で推移しています。今大会での初勝利を目指します。

世界選手権について、今後も定期的に開催され、そこに全カテゴリーが出場していくのであれば、その時々の日本のブラインドサッカー、ロービジョンフットサルの中期的な競技力向上の結果を図るバロメーターの1つのような役割を果たしていくのではと思います。思い返せば、JBFAは、これまで様々な試行錯誤を経て、複数年単位で、国内におけるクラブチームの試合機会の創出、様々な競技にまつわる環境の改善などを行うことで、グラスルーツの競技力の向上をはかり、キッズキャンプ、キッズトレーニングなどを窓口に、育成年代へのアプローチも行うなど、様々な方法で、日本代表レベルへ至る道筋を地道につけてきました。

日本代表の各カテゴリーにおいても、最新の指導方法の導入、選手のフィジカル面強化に加え、2020年のブラサカ専用練習場「MARUI ブラサカ!パーク」の開設などによる練習環境の整備、また、国際的な競争力強化のための国際公認試合の誘致や、海外遠征など、精力的な強化活動を行ってきています。

本大会の結果が出るときには、前回出場した世界選手権や国際大会に思いをはせ、今に至るまでの強化活動や、競技を継続的に行うための取組みの成果だけでなく、この成果が様々なステークホルダーの皆様の長年にわたる多大なるご協力があったからこそもたらされたことを、改めて感謝と共に思い起こす機会にしたいと思います。

本大会は3カテゴリーとも新体制で臨む世界選手権となり、現在も各々国内合宿など強化を重ねています。ブラインドサッカー男子日本代表は、5月の「IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2023」(ブラジル/サンパウロ)では準優勝、6月には「ブラインドサッカーグランプリ inフランス 2023」(フランス/シルティカイム)での国際大会に参加し、8月のイギリス・バーミンガムでの世界選手権に弾みをつけるべく備えています。

ブラインドサッカー男子日本代表はパラリンピック自力出場、ブラインドサッカー女子日本代表は優勝、そしてロービジョンフットサル日本代表は1勝以上が目標です。歴史を塗り替える日本代表の活躍に立ち会う証人になりましょう。

ブラインドサッカーが日本に上陸して20年目の今年、まさに様々な意味をもった世界選手権への参加となりました。あらためて、こうした大会の参加だけでなく、すべての強化活動が、パートナー企業や協賛各社、行政や自治体、学校、ボランティアや運営スタッフ、審判団、クラブチーム関係者、地域の方々、報道関係各位、全国のブラサカファンなど実に多くの人たちに支えられていることを強く感じます。心からの感謝の気持ちとともに、皆様の期待に応えることができるよう、今後の協会の運営も気を引き締めて取り組んでいく所存です。

私たちにとって記念すべき、そして極めて重要な位置づけの大会まであと少しです。ぜひステークホルダーのすべての皆様と一緒に全力で応援し、3カテゴリーに記念すべき勝利をもたらしましょう!


注釈
*IBSA:
国際視覚障害者スポーツ連盟( International Blind Sports Federation)。視覚障がい者スポーツの国際統括団体。日本でIBSAに加盟しているのはJPC(日本パラリンピック委員会)となり、JBFAはJPCを介して、ないし、協調して、IBSAとコミュニケーションを図っている。IBSAはサッカーのみならず、柔道やゴールボール等、複数の視覚障がい者スポーツを統括している。サッカーに関する事柄に関しては「IBSA Football Committee(IBSAフットボール委員会)」が統括し、同委員会との連携、協調はJBFAが図っている。

*IBSA ワールドゲームズ:
視覚障害者スポーツの国際総合大会(IBSA World Games)原則4年毎に開催されている。第1回開催は1998年スペイン(マドリード)

*ブラインドサッカー男子および女子カテゴリー 世界選手権2023出場国
ロービジョンフットサルの出場国数および出場国については、まだ発表されていません(2023/6/1時点)


「IBSAブラインドサッカー男子世界選手権 2023」出場国(出場チーム数:16チーム) 

ホスト国	 1枠 イングランド、 ヨーロッパ選手権2022	4枠	フランス(1位)、トルコ(2位)、ドイツ(4位)、イタリア(5位) ※世界選手権ホスト国のイングランドは同大会3位)、 アフリカ選手権2022	2枠	モロッコ(1位)、マリ(2位) 、アメリカ選手権2022	3枠	アルゼンチン(1位)、ブラジル(2位)、コロンビア(3位) 、アジア・オセアニア選手権2022	4枠	中国(1位)、タイ(2位)、日本(3位)、イラン(4位)、 IBSAワールドグランプリ2022: 大陸別選手権で出場枠を確保していない国の中で最上位の成績を収めた国	1枠	メキシコ(3位)、 オセアニア枠が執行されなかったため、出場権を獲得していない国の中で、世界ランキングで最上位の国 1枠	スペイン(世界ランキング3位)

「IBSA ブラインドサッカー男子世界選手権 2023」出場国世界ランキング2023(ランキング順)
アルゼンチン(1位)、ブラジル(2位)、スペイン(3位)、日本(4位)、タイ(5位)、中国(6位)、モロッコ(7位)、フランス(8位)、トルコ(9位)、メキシコ(10位)、11. コロンビア(11位)、イングランド(12位)、イラン(13位)、イタリア(16位)、ドイツ・マリ(17位)

 

「IBSAブラインドサッカー女子世界選手権 2023」出場国(出場チーム数:8チーム) 

ホスト国	 イングランド、 ヨーロッパ選手権2022 	ドイツ(1位) ※世界選手権ホスト国のイングランドは同大会2位)、 アジア・オセアニア選手権2022	日本(1位)、インド(2位) 、アフリカ選手権2022	モロッコ(エントリーのみ)、 アメリカ選手権2022	アルゼンチン(エントリーのみ) 、ウェイティングリスト	ガーナ、マリ

「IBSA ブラインドサッカー女子世界選手権 2023」出場国世界ランキング2023(ランキング順)
日本・ドイツ(1位)、イングランド・インド(2位)、アルゼンチン・モロッコ(3位)

 

*ブラインドサッカー男子「パリ2024パラリンピック」出場権獲得国(出場チーム数:8チーム)

ホスト国	1枠	フランス、 ヨーロッパ選手権2022 1枠 トルコ:ホスト国のフランスが優勝したため、準優勝のトルコが獲得、 アフリカ選手権2022:優勝国 1枠 	モロッコ 、アジア・オセアニア選手権2022:優勝国	1枠	中国 、パラパンアメリカン競技大会2023:優勝国	1枠、世界選手権2023:大陸別予選で出場枠を獲得していないチームの中から上位3カ国

*パラパンアメリカン競技大会2023は、今年11月に開催されるため、世界選手権2023終了時点で、同大会の結果に基づく出場権獲得国がすぐに決定しない可能性があります。
*大陸別選手権で出場枠を確保していないチームの中から上位3カ国 3 :–日本代表チームがパリ2024パラリンピックの出場権を獲得するためには、「IBSA ブラインドサッカー世界選手権 2023」(2023年8月18日〜27日/イギリス・バーミンガム開催)において、大陸別予選でパリ2024パラリンピックの出場権を獲得していないチームの中で、上位3カ国に入る必要があります。
参考(P34〜):https://www.paralympic.org/sites/default/files/2022-06/2022_06_10%20Paris%20QR_v1.pdf

*ブラインドサッカー・ロービジョンフットサル:全カテゴリー世界ランキング(2023)
IBSA HP(Footballresults and rankings)
https://blindfootball.sport/results-and-rankings/world-rankings/